#先生死ぬかも

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子供の受ける教育の差が拡大する恐れ?

教育は憲法により保証された国民の権利である。

どこに住んでいても質の高い教育を受けることができる仕組みが要る。

その為に全国の教員の給与は国立の学校の教員に準ずるなどどの地域でも優秀な人材が集まる工夫があった。

しかし、その制度が廃止され、自治体の判断により教諭の給与が引き下げられ続けている。

同時に非正規の教員が増やされてきた。

教員の質すなわち教育の質の地域格差が広がっている恐れがある。

その背景が以下の朝日新聞論座の記事に述べられている。

 

教員全体が疲れ切っている
地方分権、人材枯渇、そして教員全体の疲弊…。学校現場を襲う負の連鎖
教員不足になった理由1 非正規教員への依存
 最大の理由は、正規雇用の枠が非正規雇用に置き換えられ、非正規雇用教員への依存率が高くなったことにある。

 現時点で公開されている文科省調査は2011年までのものしかなく、文科省調査によれば、2005年(H17)に8.4万人(12.3%)だった非正規教員の割合は、2011年(H23)には11.2万人(16.1%)へと増加した。

 臨時的任用教員の内訳をみても、産休・育休代替の先生の数よりも、各自治体の裁量によって採用されている臨採の先生の数(棒グラフのピンクの部分)が増えていることがわかる(下図参照:文部科学省「非正規教員の任用状況について」)


 非正規教員の枠が急増するきっかけになったのは、小泉政権下の地方分権改革だった。 主に、以下4つの大きな改革によって、各自治体が、教員の給与を減らして財源をつくることで、自由に教育改革にとりくめるようになったのだ。

改革1:2001年義務標準法の改正
 2001年に「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律(以下義務標準法)」が改正された。これは、国庫補助金改革・税源移譲による地方分権と、地方交付税削減による財政再建の方針のなかで求められた改革だった。

 この改正によって、義務教育費国庫負担の対象に、非常勤講師を含めることが可能になったのだ。

 義務教育費の国庫負担制度とは、子どもが生まれた地域によって受けられる教育に差がでることがないよう、各地方自治体が義務教育を実施するのに必要な経費の一部を、国が負担する制度だ。そして、国が負担する経費のほとんどは、学校の先生の給与費で占められている。

 単純化していえば、「うちは財政状況が厳しいので、必要な人数の先生を雇えません」という地域がでたり、「A県は先生がたくさんいるが、B県では先生が足りなくて子どもが授業を受けられない」というような地域差が大きくなったりしないように、学校の先生の人件費の二分の一を、国が負担して地方に渡していたということだ。(詳しくは、苅谷剛彦著『教育と平等』中公新書、2006年、参照)

 国からすれば、教員の給与に使ってもらうために渡したお金を、各都道府県が勝手に他のことに使ってしまったら困る。そのため、地方自治体が他のことに使えないよう、厳しい縛りが定められていた。

 この縛りが、2001年に緩和されたのだ。それまでは、国が負担する教員の人件費は、正規の教員分にしか使えなかったのだが、この改正によって、非常勤講師の人件費にも使えることになった。

改革2:総額裁量制の導入
 さらに2004年、義務教育費国庫負担制度に総額裁量制が導入され、2006年には国庫負担の負担比率が二分の一から三分の一に切り下げられ、減額分は都道府県に税源移譲されることになった。

 国から、教職員のお給料に使いなさいと渡されるお金の、総額を超えない範囲内であれば、先生達の給与の種類や額、そして教職員の数を、地方自治体が自由に決定できるようになったのである。

 例えば、正規の先生1人分の人件費で非常勤講師を2人雇い、算数の時間だけクラスを2つに分けて、少人数学級で授業しましょう、といった取り組みが、自治体の裁量でおこなえるようになった。

改革3:国立学校準拠制の廃止
 2004年にはまた、国立大学の独立行政法人化によって、教員給与の国立学校準拠制が廃止された。

 それまでは、地方公務員である公立学校の先生のお給料の額は、国立大学附属学校の先生の給与額に準じることとされていた。

 これも、子どもが受ける教育機会の均等を守るために作られた制度だった。もしも県の財政状況の違いが学校教員の給与に直接反映されて、地域格差が大きくなりすぎると、給料の高い地域に優秀な先生が流れてしまう可能性が高い。先生が集まりにくい地域が生じたり、その地域の子どもたちが質の高い授業を受けられなったりするのを防ごう、という考えが、そこにはあった。

 ところが同年、国立大学が法人化されてしまい、附属学校の先生達は国家公務員ではなくなってしまい、人事院勧告を経て適正な給与基準が決定される対象ではなくなってしまった。これをきっかけとして、準拠制の縛りも撤廃され、各都道府県が自由に給与を決定できることになった。

改革4:地方公務員の定員削減
 その上、2006年からは地方公務員の定員削減計画が始まった。

 地方財政が厳しさを増す中で、公務員の数を減らし、さらに公務員を非正規化して人件費を節約することによって、財政の効率化が目指された。

 教育公務員は、地方公務員の約3割を占める。そのうえ、時代は少子化に突入していた。子どもの数が減るのだから、先生の数も減らすのは当然だという理屈も重なり、教育公務員は、真っ先に数減らしのターゲットとなった。

規制緩和の光と影
 このような地方分権改革のなかで、地方自治体の裁量が増したことは、教育現場にとっては諸刃の剣となった。

 一連の改革の結果、各自治体の裁量の幅が増し、知恵と創意工夫によって独自の教育改革が行えるようになった。

 しかし、教育予算の総額は増えない。むしろ、減少する一方だ。そのため、地方自治体は、教員の給与や待遇を切り下げることによって、改革に伴う予算を生み出していった。

 その結果、改革前には臨時的な場合に限られていた非正規雇用が、常態化されることになってしまったのだ。「臨時的任用」の教員が「常時的」に任用されているという矛盾が、学校現場に生じることになったのである。

 例えば、一連の規制緩和の結果、自治体の教員採用計画の裁量は増えた。その裁量は、「将来の少子化の進行に備えるために、いま現在必要な先生は正規雇用せず、臨採枠に転換してしのぐ」というような、いわゆる「雇い控え計画」となって現れた。

 このようにして、子どもが受けられる教育やその環境の、都道府県格差・地域格差が拡大したのだった。